バイオリン

MBTIやエニアグラムに関する哲学的な考察及び、日々考えたことについて

MBTIの哲学的基礎づけ(10)判断機能②

前回は判断機能について一般性と固有性について話しました。今回はFとTの違いに相当する有限と無限について説明します。
有限
 有限とはFに対応しています。有限とは比喩的に言うと、細胞膜のように閉じた境界面をもつもので限定される部分のことであり、生命そのものを意味しています。これに対して生命の外にある環境は閉じた境界面を持ちません。ここで境界線と閉じた境界面は違います。境界線は世界を切り分けることであり、言語化機能一般をさすので判断機能全ては境界線を引くことに対応しています。しかし、有限とは境界線や境界面を閉じる必要性があります。
 生命の本質は有限の境界面を持つことにあり、そのことで”意味”が生じています。無限に発散する世界全ての構造のただなかにいた場合、差異のみはありますが、そこに意味が生じないと考えられます。これはソシュールシニフィアンシニフィエシニフィエに対応していると考えられます。シニフィエはその言葉の意味に対応し、シニフィアンはその言葉の音の差異に対応しています。シニフィアンのみだと言語の構造があるのみで、その中にその言葉が指示している対応物の意味はありません。ここでシニフィエシニフィアンとの本質的な違いは何かを限界づけることです。それが境界を閉じることにつながります。
 FiやFeは前者が固有性を持った生命に対応し、後者が一般性を持った生命に対応します。Fiは個人の意識に対応していると考えるとわかりやすいと思います。また、Feは人類の意識や生命の意識に対応しており、あらゆる可能世界を想定するときに必要な視点を提示してくれます。ある意味で有限によって私や我々以外の環境に対する視線を確保することができるのです。
 またこれは知恵の実と生命の実でいうと生命の実に対応しています。
無限
無限とはTに対応しており、生命や境界の閉じたものから離れた無境界で開かれた世界に対応します。生命に対する環境に関する判断機能と言ってもいいでしょう。そこには境界線は判断機能による言語化によって作られていますが、「閉じた境界面」はありません。よって意味の世界ではなく、構造の世界を指向します。これはシニフィエではなく、シニフィアンの世界ということです。言葉の意味よりも、その言葉の差異や構造そのものに関係しています。またこれは知恵の実を示しています。言語の中でも最も言語に近い判断機能と言えるでしょう。